オオクワガタの飼育方法
オオクワガタの飼育は非常に簡単です。丈夫で長生きしますので愛着もわいてきます。また多くの子孫も残してくれるので、累代飼育も簡単です。上手に飼育してあげれば3~5年は生きます。私のところでは4年半位が最高ですが。一番大切なのは自分なりにテーマを持って飼育することだと思います。私の場合は個人的な趣味の域ですのでいかにお金をかけずに長生きさせるか、大型を羽化させるか、美形を羽化させるかなどですが飼育種によって色々目的をもって飼育しています。以下、持論、自己飼育方法について記していきたいと思います、少しでも参考になれば幸いです。
オオクワガタの入手・飼育
まずオオクワガタのペアをゲットしなければなりませんが、自己採集では無理でしょう。近所のペットショップやネットオークションなどで購入するのが手っ取り早いと思います。最近では価格も求めやすくなり産地・大きさなどに拘らなければペットショップで数千円くらい、ネットオークションでは2~3千円もだせばまあまあ満足のいくものが手に入るでしょう。オオクワガタのペアをゲットできたらまず最低限必要な飼育用具を用意します。飼育ケース、餌、餌皿、飼育マットが必要になります。
ケースは色々な種類のものが売られており、お好みでかまいませんが私の場合スタックという種類の飼育ケースを使用しており、♂でミニケース、♀でエスと呼ばれているサイズのものを使用しています。このケースは保湿性能が優れており、コバエの侵入も防いでくれ、メンテナンスも非常に楽です。他にもコバエシャッター、デジケースなど優れたものが沢山ありますので、ご自分のニーズにマッチしたものを選ぶとよいでしょう。サイズは飼育頭数が少なければ♂小ケース、♀ミニケースくらいでいいと思います。ポイントはペアリング時以外は単独飼育することです。餌は通常飼育時はホームセンターなどで売っている昆虫ゼリーで十分です。但し、ペアリング時、産卵前後の♀には高タンパクゼリーを与えるようにします。その他にはバナナやヨーグルトなどもいいようですが、私は乳酸パワーゼリーのみです。餌皿はなくても良いのですがあると餌皿の下が安定した棲みかになります。私の場合飼育ケースが小さいのでいれておりません。飼育マットは成虫飼育の場合はほぼどんなものでも大丈夫ですが、広葉樹ベースのマットだとコバエ、ダニが住みつき衛生的によくありません。私の場合はコバエ・ダニは嫌なので(好きな人はいないと思いますが)針葉樹ベースの粗めチップのマットを使用しています。マットは活動期(4月~10月位)は厚さ1センチもあれば十分で、表面が湿る程度に霧吹きなどで加水してあげてください。オオクワガタは乾燥には比較的強いですが乾燥し過ぎ、加湿し過ぎには注意します。また餌だれなどでマットは汚れます。この場合はマットを新しいものと交換し飼育ケースも洗ってあげましょう。私の場合活動期は1か月に1度位の割合で交換、洗浄しています。以下、私が使用している飼育ケース、餌、餌皿、飼育マットを紹介します。(飼育用品はそのほとんどが「オオクワキング様」より購入しております)
羽化したての元木WE♂
羽化したての元木WE♂
見にくいですが♂の蛹です
蛹になって1週間ほどです
蛹になったばかりです白色透明
でとてもきれいです
蛹室を作り終えた幼虫、この後
数日で蛹になります
左からガラス600、pp800
ガラス1000、1500です
産卵セット(大ケースに産卵木
3本縦置き)
産卵セット(中ケースに産卵木
2本横置き)
♀を産卵セットから取出し20~25日位後、待ちに待った割出しです。材の年輪にそって丁寧に割っていきます。食痕が確認されたらさらに慎重に行います。ゲットした幼虫はそれぞれ好みの方法にて飼育します。飼育方法は主に材飼育、菌床飼育、マット飼育の三通りの方法があります。現在最も主流なのが菌床飼育だと思いますが、私もこの方法です。銘柄などたくさん販売されており迷いますが大切なのは欲しいときにすぐ手に入る安定供給度、自己飼育に対するマッチ度、そして価格だと思います。ヒラタケ・オオヒラタケなど試してみましたが、ヒラタケは高めの温度に対し耐久力が弱く菌糸の持久力という点でも劣るような気がしました。そのような理由から現在ではオオヒラタケのものを使用しております。ただこれは我が家の飼育環境下でのことであり必ずしも皆さんの飼育環境下でも当てはまるということではありませんので、誤解なきようお願い致します。色々ためしてみてマッチしたものを見つけてください。また温度管理をしっかりすると大きく育ちますが室内常温でも70mm台前半くらいまではなりますよ。但し、夏場の超高温にはくれぐれもご注意ください。
次に発酵マットを使った飼育ですが菌糸瓶を使った飼育より飼育期間が長くなるように思えます。温度管理は特に必要ないですが瓶交換時期がわかりずらいので期間を決めて交換していくとよいでしょう。発酵マットはショップでも良質なものが安価で売っていますのでこれを使用するのが手っ取り早いと思います。添加剤(小麦粉・ふすまなど)を使用して自作してみてもいいと思います。
次に材飼育ですが、概ね羽化までに2年ほどかかるようで気の長い私には不向きと判断しチャレンジしたことがありません。その他幼虫飼育詳細は後のページで述べたいと思います。
産卵を終えた♀は十分な餌を与え体力回復させてあげてください。その後再度産卵させるのであれば前述の方法にてセットしてください。但しこの場合、産卵木は1~2本で十分だと思います。また過度の産卵は寿命に直結しますのでご注意ください。
産卵木の加湿・殺虫
小ケースを利用した
ペアリングセット
オオクワガタのペアを入手したらブリードにチャレンジしてみましょう。ブリードは思っている程難しくはありません。ポイントは十分成熟したペアで行うということです。長寿なためか成熟するまで時間がかかります。個体差もありますが一般的には♂で羽化から3~4ヶ月、♀で6ヶ月位といわれております。慣れないうちは越冬させた個体を使用した方が良いでしょう。未成熟な個体でペアリングをしてしまうと産卵に失敗するだけでなく大切な個体まで傷つけてしまう場合があります。ペアリングに選ぶ成虫の状態ですが元気がよく、よくえさをよく食べる健康体と思われる個体を使用します。♂で後ろ脚の無い個体、♀で前足のない個体、顎がけの個体は程度にもよりますが、産卵失敗の大きな要因になると思われます。このような個体は極力使用しないようにしましょう。とはいっても1ペアしかいない場合などはチャレンジするしかありませんよね。
ペアリングの方法は幾つかありますが、私の場合は小ケースを使用し、まず♂をこの中に入れます2~3日たちおちついたら♀を入れペアリングの開始です。通常3~4日もあれば交尾は済んでいると思われますが私の場合は1週間程同居させます。日中、餌皿の下で仲良くしているようであればまず大丈夫でしょう。
他には産卵セットに♂・♀を入れる方法もあります。私も以前この方法を試したことがあるのですが、♂を取り出そうとすると♀が掘った穴に潜り込んでしまい苦労しました。またどうしても不安な方は幼虫飼育に使用する菌糸瓶の1500ccタイプにマットを少し入れさらに小さめの餌皿を入れます、ここに♂・♀を入れます。この方法は♂・♀の遭遇率が上がり長期同居はリスクがあります、長くても2~3日としましょう。
無事ペアリングが済んだと思われたら♀を取出しもとのケースへ戻し1週間程集中的にゼリーを食べさせます。この時が一番重要でこの時期にしっかり餌を食べているかどうかよく観察します。産卵を控えた♀は昼夜餌を食べ続けます。餌切れに注意しましょう。餌の食いが悪い場合は一抹の不安はありますが私の場合はかまわず産卵セットに入れています。但しこの場合は小ケースに産卵材1本で様子をみます。マットは1センチほどでその上に産卵材を置きます。このようにすることによって休眠癖のある♀の産卵スイッチを入れてあげます。大概の場合はこの方法で産卵すると思います。このケースの利点は他にもあり♀が材を齧りだしたときすぐに確認ができること、割出時の幼虫の大きさがほぼ一定であることなどがあります。デメリットとしては7~10日間隔で産卵木を入れ替えるため手間がかかるということですがオオクワ好きの皆さんでしたら労力は惜しまないですよね。まだ試したことがない方は是非一度試してみてください。但し産まなくても責任は持てません・・・
さて、十分に餌を食べた♀は大ケース・中ケースで産卵させます、大ケースの場合産卵木は3本、中ケースでは2本入れ3週間~1か月程暗く静かな場所に置き産卵に集中させます。♀は産卵中でも時々餌を食べますので餌は多めに入れておきましょう。産卵材は色々種類がありますが私はクヌギ、コナラの柔らかめの材を使用しております。また国産オオクワは固めの材がよいと聞きますが、我が家ではノーです。他にはカワラ材などもよく産むと言われておりますが、私は試したことがありません。「勝っているとき、打線はいじるな」という言葉がありますが、クヌギ、コナラ材で十分な数の幼虫を毎年ゲットしており、わざわざ高額な材を使う必要がないということです。どうしても産卵しないなどの場合試してみる価値はあるかとは思います。
材は私の場合、熱湯に丸一日浸け殺虫、加湿しその後半日~1日位陰干しします。この時味の素を少々振りかけておきます。材の皮は剥がし、表面もきれいにし使用します。熱湯殺虫すると産卵木の有用菌まで死滅してしまい産卵しないのではと懸念されがちですが、ノープロブレムです。むしろ材から予期せぬものが出てくる方が私は嫌なので。
以下、ペアリング・産卵セットに使用しているケース、産卵材などご紹介しておきます。
く
針葉樹粗めのマット
16g用の小さめの餌皿
活動期に動きまわった成虫も秋になり少しづつ気温が下がるとだんだんと動きが鈍くなります。日中の気温が20度を
下回るようになると越冬準備に入ります。我が家では11月中旬頃越冬準備に入り12月中旬には完全に越冬します。
越冬は長生きさせるポイントですのでよほどのことがない限り越冬させましょう。もちろん、この年に生まれた新成虫も
来春のペアリングに備え越冬させます。越冬は難しくなく通常飼育時の飼育ケースに多めにマットを入れるだけです。
後は温度変化の少ない場所に置いておけば大丈夫です。日中と夜間の温度変化が激しいと日中活動をしたりと落ち
着いて越冬できませんので注意して下さい。我が家では屋外物置の中に入れております。真冬の温度で5~10度位
だと思います。餌は越冬準備時に入れその後完全に越冬したらいれなくても大丈夫です、冬眠中餌は食べないので。
また越冬中はケース内の湿度だけ気をつけましょう。定期的に霧吹きなどで加湿してあげてください。ちなみに我が家
では2月頃一度霧吹きするのみです。
成虫が越冬してしまったら、幼虫飼育で楽しみましょう。
割出に使用する道具
一時保管用プリンカップ
割出した幼虫
回収した産卵木
セット前の産卵木
左はエス・右はミニケースです。
このサイズだと餌皿ははいりま
せん